魔女の下僕と魔王のツノ(8巻)の感想です。
8巻の感想
7巻であれだけ憎しみと怒りで奮い立っていたサウロが、8巻では懐かしさに負け、アルセニオであるアルマに優しくしてしまうのが切なかったです。
7巻までの殺人人形とは別人のように、ただの気さくな青年のように振舞うサウロに、周囲の人間も驚きます。ですが、アルセニオという中身が大切で、アルマという外見が彼の好みのタイプすぎるせいで、二人の感情がこじれにこじれまくるのが、悲しいというのを通り越して面白かったです。
アルマの無自覚な誘惑に理性が吹っ飛ばされそうになりながら、その度に「神よ、これ以上試すな!」とお祈りに逃げるサウロの姿はコミカルで楽しいです。
7巻がシリアス重視だっただけに、8巻ではいつものギャグが全開で戻ってきたようなお話でした。ギャグの一方で、二人がきちんと過去の清算をしているのも良かったです。
裏切られたのは悲しいけど、未だ友達だというアルセニオと、もう恨んでないし救いたいと願うサウロたちの気持ちは切ないです。
魔法アイテムがないせいで悪夢を見るアルマを力いっぱい抱きしめるサウロが格好良かったです。作者コメントで、アルセニオとアルマが分裂すればいいとあったのですが、うっかり本筋を忘れてそう願ってしまうほどでした。
アルセニオがアルマと分裂するだけじゃなくて、アルセニオとかレイとか、いっぱい分裂しちゃえば全部が丸く収まるんじゃないですかね!!!!??
前巻のあらすじ
7巻のあらすじです。
ベティはほうきに乗る練習に、アルセニオは魔法の修業に励む中、街には魔物撲滅を掲げるイスパニア兵が溢れていた。その中にはアルセニオのかつての親友・サウロの姿も…。イスパニア兵から魔王のツノを守るべく、魔王城に乗り込んだアルセニオたちだが…?